巻機山 景観保全 ボランテイア活動 2012年8月 我孫子登山倶楽部 巻機山ボランテイア活動は、我孫子登山倶楽部創立20周年行事であった利根川流域の山の完登記念として始まった。 巻機山は日本百名山としても有名な山であるが、その山は利根川源流とされる大水上山を頂点とする源流トライアングル地帯にあり、そこに降った雨の一滴が大関東平野を潤しているのである。 続き 右図の写真をクリックすると、拡大表示されます。 その後17年が経過、一度だけ台風襲来で中止になった以外は毎年実施している。 最初これほど継続するとは思っていなかったが、巻機山ボランテイアは一度参加すると次年も参加するという病みつきになるのだ。 雨に打たれて悲惨な山行も多かったが、参加したことで大きな満足感を必ず得ることが出来るのである。 記録を調べてみると、最多の参加者は17回の実施で15回も参加しているという。 これは手弁当で遠く千葉県より参加するボランテイア活動という美談だけでなく、本人にも満足感を与えてきたことと思う。 |
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年 | 月 日 | 人数 | 作業 | 備考 | |
1 | H7 | 8/26〜27 | 19 | 荷揚げ、種子採取、播種 | |
2 | H8 | 8/31〜9/1 | 31 | 種子採取、播種 | 山渓の大畑さん随行 |
3 | H9 | 8/30〜31 | 21 | 荷揚げ、コモ掛け | |
H10 | 台風のため中止 | 0 | |||
4 | H11 | 8/28〜29 | 19 | 種子採取、水運び | |
5 | H12 | 8/26〜27 | 15 | 種子採取、丸太運び | |
6 | H13 | 8/25〜26 | 16 | 木道整備、種子採取 | |
7 | H14 | 8/24〜25 | 9 | 登山道ロープ張り、種子採取 | |
8 | H15 | 8/23〜24 | 21 | 土留め、種子採取 | 野の花館に寄る 雲洞庵見学 |
9 | H16 | 8/21〜22 | 10 | 丸太移動、種子採取 | |
10 | H17 | 8/27〜28 | 12 | 丸太運び、種子採取 | |
11 | H18 | 8/26〜27 | 9 | 種子採取 | |
12 | H19 | 8/18〜19 | 14 | 種子採取 | |
13 | H20 | 8/23〜24 | 15 | 悪天のため作業出来ず | |
14 | H21 | 8/22〜23 | 18 | ネット掛け、種子採取、播種 | 民宿組:坂戸山、雲洞庵 |
15 | H22 | 8/21〜22 | 11 | ネット掛け、種子採取、播種 | |
16 | H23 | 8/19〜21 | 19 | ネット掛け、種子採取、播種 | 野の花館に寄る |
17 | H24 | 8/18〜19 | 18 | ネット掛け、種子採取、播種 | 民宿組:坂戸山、雲洞庵 |
(1)自然保護学習会
山に登る者にとって、山は限りなく自然のままであって欲しい。ゴミは見たくない。林道なんか歩きたくない。でも、荷物になるゴミは捨てたいし、登山口までは楽をして行きたい。きれいな花を求めつつ、疲れるとお花畑でもどこでもあの重い登山靴で踏み荒らしてしまう。そんな矛盾を感じているのは一人ではなかった。
登山と自然の視野を広め・深めるためにいくつか学習会や講演会、クリーン活動を企画した。
第1回 1994年(平6)2月19日
「生態循環と水循環」
第2回 1995年(平7)2月4日
「登山と自然」
第3回 1999年(平11)10月23日
「山よ、よみがえれ、景観保全ボランテイァ−ズ」
(2)古利根沼クリーン活動
日時・ 参加人数
第1回 1994年(平6)10月22日 4〜5人
第2回 1995年(平7)10月14日 9人
第3回 1996年(平8)10月12日 2人
第4回 1997年(平9)10月25日 13人
第5回 1998年(平10)6月14日 10人
第6回 1998年(平10)10月24日 5人
第7回 1999年(平11)6月13日 12人
第8回 1999年(平11)10月23日 5人
(3)巻機山景観保全ボランティア山行
当時のリーダーであった人の話しによると、
「1994年に古利根沼クリーン活動に参加した後、このような活動を山でも広げられないかと思い始めた。その後、1995年『山渓』で、巻機山景観保全ボランティア活動の記事を読み、直接日本ナショナルトラストに電話をしたら資料が送られてきた。そして、1995年8月26〜27日に参加したのが始まりである。」
とのことであった。
その後の活動については、先の表にまとめたとおりである。
また、巻機山は本会員の人気の山で、例会.個人などのかたちで今までに10回以上も登られていることを付け加えておく。
山を愛する心がこのような活動を導きだし、自分たちの背の高さで考えることが持続してきた秘訣ではないだろうか。
巻機山景観保全ボランティア活動は、朝日森林文化賞を受賞し、その授賞式に参加できるチャンスを我孫子登山倶楽部は得たのだった。
4.朝日森林文化賞を受ける TOP
この賞は、朝日新聞社・森林文化協会が主催で、「自然を守り、緑の生活環境づくりに優れた活動をしている人々を顕彰する」もので、今回は15回目、4団体1氏が表彰された。
巻機山景観保全ボランティアーズの受賞理由は、「登山者が破壊した雪田植生と池塘を20年かけて復元」である。
授賞式に参加した当時の会長が報告文を「あしあと」(205号)に掲載している。大変参考になると思われるので、ここに全文を、原文のまま載せたい。
巻機山景観保全ポランティアーズ授賞式報告 我孫子登山娯楽部が平成7年より参加している(財)日本ナショナルトラストが行っている巻機山景観保全ボランティア活動が、6月26日、朝日森林文化賞を受賞したとの発表があり、翌日朝日新聞社での授賞式に、ボランィアーズの一団体として出席しました。 授賞式の後、巻機山景観保全ボランティアーズの関係者による祝賀会があり、当娯楽部からも4名参加しました。 出席者は主に東京農業大学の麻生助教授が主軸になっている関係上、東京農大学生、OB、が大半を占め、他に日本ナショナルトラスト協会の理事、山と渓谷社の編集長、新潟県のポランティア団体等などの顔ぶれでした。 祝賀会の中で色々と話しがありましたが、この出席者の人たちは登山に興味がある訳ではなく、純然たるボランティア活動として巻機山保全に加されているということでした。 登山を趣味としている私たちは大変肩身の狭い思いをしました。 実際の所、巻機山に限らず登山者による登山道の崩壊が進んでいる所を歩いた事は皆さんがよく知っている事ですが、登山道を荒らす、壊すという行為は登山者がほとんどという現実をこの度強く感じました。 今までは当会のボランティア活動としてとりあえず参加をしていた所もありますが、これを契機にもう少し真面目に取り組んでいくよう努力をする事が必要と思います。 自然の素晴らしさを楽しませてもらっている事の代償として、私共にできる事なら少しでも役に立てればという考えを登山者は持つべきだと思います。 ともあれ、この授賞式祝賀会で複雑な気持ちになったのはだけではないようです。 平成9年7月1日 |
<他人事から自分事へ><下請けから元請けへ>への関わりかたの転換が、そろそろ求められているのではないだろうか。
それは、<登る―登られる>関係の見直しでもある。そうして、巻機山と共に学び・生かされていることを、喜びと感じることではないだろうか。
巻機山は、我孫子登山倶楽部を育てているのだ。
井戸尾根に一九のザック揺れており
今年も来たり我孫子の岳人
竜王の他に浮かぶ巻機は
幾千年の地球を見ており
巻機にヤチカワズスゲ育ちおり
我孫子の山は人をも育て
旅篭やでソバ・ウド・コゴミほうばれば
幼き日々の山河思えり
以上